総長からのごあいさつ

50年の恋愛 バリュー・ミッション・ビジョン…そして…Love北海道大学総長 宝金 清博

北海道大学総長 宝金 清博

北海道大学総長 宝金 清博

 北海道大学は、2026年に開学150年の節目を迎えます。一つの組織が、生まれ、成長し、150年という長きに渡って継続することは、一つの奇跡です。この間、正確な数値の把握は難しいことですが、近年は毎年2500名あまりの卒業生を輩出していることを考えますと、本学に関わりのある卒業生やその関係者は、数十万を超えると想像されます。その一人一人が、この大学の長い歴史を作り上げてきました。私もその一人です。
 私が本学に入学したのは、1973年です。従って、北海道大学に50年近くの関わりを持っていることになります。この間の約12年間、私自身が北海道大学から離れて、他の大学機関や外国で生活した時期があります。現在の校友会エルムのような強力な組織はありませんでしたが、私の卒業学部の同窓会を介して、母校の情報に触れる機会がありました。この間、母校である北海道大学の輝かしい出来事を知った時には、我が子か恋人のことのように喜びました。その一方で、停滞に落胆し、悔しい思いに駆られることもありました。
 母校への思いは、ある意味love and hateと言う「恋愛感情」に似たものだと思います。

 大学には、温かいぬくもりを持った「コミュニティ」という機能があり、これは、大学という教育機関の最も重要な使命の一つです。その中で、若い多感な時期を共に過ごすことで、いろいろな出会いや学びを通して、多様な価値観を学びます。いわば、incubatorとして、若い感性を育むカレッジの集まりが「総合大学」です。
 しかし、一方で、現代の大学は、社会と連携機能を強く求められています。大学の二次的・付加的な機能ではなく、大学の最も重要な機能として、社会と連携し、そのビジョンに基づいてミッション達成のための組織(ゲゼルシャフト)に成長しています。
 その連携強化の最も強力な組織が、在学生、在学生の保護者の皆様、現役・退職した教職員、そして、国内外の企業・団体など実社会で活動する卒業生等、すべての北海道大学関係者で構成する北海道大学校友会エルムです。
 ここ数年、校友会の活発な活動の中心は、暖かい「コミュニティ」を大切に守りつつ、社会との連携の仕組みとしての産学連携などの様々な機能強化に大きく貢献することに向かいつつあります。

 150年間続く組織には、どうしても、必要なものが3つあります。それは、①揺るぎない「バリュー」(価値観・行動指針)と②ミッション(組織の存在目的)の明確化、そして③それを実現する具体的なビジョンの立案です。
 北海道大学には、バリュー(価値観・行動指針)として、150年間保持してきた「フロンティア精神」「国際性の涵養」「全人教育」「実学の重視」という4つの基本理念があります。そして、本学の使命・ミッションとして、「北大近未来戦略150」において「世界の課題解決に貢献する大学」を掲げています。
 バリュー(価値観・行動指針)もミッション(組織の存在目的)も、常に時代の変化の中で、再定義し、新たな解釈が必要になります。そして、何より、ビジョンを日々確認し、検証しつつ、ミッションの実現に向かう必要があります。校友会エルムはそのビジョンの一つの強力な仕組みとして、大学と社会の架け橋を担う活動を大きく広げようとしています。

 しかし、この3つの必須の要素(バリュー・ミッション・ビジョン)に加えて、どうしても必要で、無くてはならないものがあります。それは、母校への「Love」だと思います。これは、企業や家族でも必要なもので、この存在がなければ、1世紀以上にわたって特定の組織が、存続することは不可能です。

 北海道大学校友会エルムは、北海道大学のミッション実現のための企図された仕組みの一つです。しかし、それは、北海道大学という、不思議な「縁」で結ばれた偶然と必然が綾なす「コミュニティ」へのLoveが基本にある特別な組織です。
 この組織が、全国の大学の同様の組織の中でも、ひと際輝く存在となるように、関係者の皆様、一人一人のご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

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